著者:榊一郎 イラスト:狐印 (富士見ファンタジア文庫 刊) 学校の幽霊を舞台に取り込まれた少年少女達の様を描くボーイ・ミーツ・ガールストーリー。 連載時のタイトルは「キミボク、そして私の立つ今日」だが、文庫化(3〜4巻)に伴い原題に統一された。 学校の幽霊に取り込まれた高校生・長居優樹と学校の幽霊の化身・鈴乃宮詩月、小さな化け狐の少女・紅葉、戦争に巻き込まれて焼死した少女達をつなぎ合わせて生み出された四人の四季少女達、この学校で教師を務める幽霊・本町小竹乃、そして作品途中から参入したアンドロイド少女・ネレイドと詩月を成仏させるためにやってきた女子高生陰陽師・アグニエシカ、男として生きることを拒んだ少年・扇町聖達が鈴乃宮学園を「成仏」させてあげるために学校生活を演じる姿、そして学校に取り込まれた少年少女達がいままで逃げてきた出来事への自分達なりの解決方法を学び、成長してゆく姿を一人の少女に長居と呼ばれた少年が語るという形式で描いている。 なお、本作の元ネタは某専門学校の講義で特別講師として神野オキナ氏(代表作:闇色の戦天使、あそびにいくヨシリーズなど)を招いた際に行われた、三題噺(客からランダムに三つ提示されたお題で一つの物語を作る落語の手法)のように生徒からランダムに提示された三つの題を元にオキナ氏と対談形式でネタ出しを行った授業の内容とのこと。 【既刊情報】 「君の居た昨日、僕の見る明日1 ―STARTING BELL―」 「君の居た昨日、僕の見る明日2 ―FAKE HEART―」 「君の居た昨日、僕の見る明日3 ―And Today You Standing―」 「君の居た昨日、僕の見る明日4 ―Round-about Runners―」 「君の居た昨日、僕の見る明日5 ―Graduation Ceremony―」 【補足:サブタイトルに関して】
直訳すると「予鈴(始業ベル)」 第1巻ということで、鈴乃宮学園の成仏のための大規模な「学校ごっこ」の始まりを表している。 直訳すると「偽りの心」 作中で提示された問題「人間と非人間の境界線」、そして同じように人間になりたい紅葉とネレイドの抱く共通の問題と自身の在り方などに由来している。なお、当初の予定ではネレイド初登場作品ということで「MACHINE HEART(直訳:機械の心)」の予定だったらしい。 直訳すると「そして、あなたの立っている今日」 DM連載時のタイトル「キミボク、そして私の立つ今日」とそのテーマに由来する。 直訳すると「遠回りする走者達」 登場人物達の人間模様と迷走しながらもようやくお互い意識した優樹とアグニの恋心に由来する。 直訳すると「卒業式」 ついに訪れた鈴乃宮学園の成仏、つまり登場人物たちの別れと成仏の儀式たる卒業式に由来する。 ●用語解説 |
・チョウブクチョップ | 綾小路虎丸 |
文部科学省陰陽科の最悪兵器(ディザスター)こと虎丸が使用した技。 自身の持つ常軌を逸した霊力量と開放能力を利用したただのチョップを喰らわせる。 その威力は凄まじいもので、一撃で悪霊を消し去ると同時に余波で周囲の霊的均衡を崩すほどである。(クウガもどきさんより) |
・感情的霊力爆発(ヒステリック・ブラスト) | アグニエシカ・グラバルティック・阿倍野、綾小路虎丸 |
アグニや虎丸などが引き起こす霊力爆発現象。この名称は別名だが、実際のところ正式名称は無し。 術者の持つ高い霊力が、感情が高ぶったり追い詰められたりといった要因で心理的袋小路に入り込んだことによって制御を離れ、暴走した霊力が無作為に『爆発』という物理現象へと変換されるという現象である。術者の霊力総量にもよるが、制御能力の追いつかない霊力総量というのは大抵膨大なものであるため、威力は必然的にその辺の霊能力者の術式に比べると桁違いの威力になる。ちなみに、物理現象への変換が始まったときに術者の体から『後光』『天使の輪』の様な光が滲み出すのが特徴。 初登場は3巻(アグニ初登場回)であり、最も多用されたのも3巻である。そしてこの現象の作中での登場もアグニの精神的成長に合わせるかのように減少傾向にある。ただ、鈴乃宮学園はアグニの引き起こすヒステリック・ブラスト程度では動じないほどの力を持っているので、基本的に作中でアグニが発動させたとしても、次の日までには被害箇所を修復可能。 第5巻(最終巻)では、鈴乃宮学園の外郭の結界及びアグニの封禁結界によって学園への侵入が妨げられた虎丸が引き起こした。しかしかろうじて鈴乃宮学園の成仏が間に合ったために鈴乃宮学園やその中にいた優樹達が巻き込まれることはなかった。ちなみにアグニによると彼が霊力爆発を起こした場合、鈴乃宮学園を丸ごと消滅させたり神隠し(霊的均衡の崩壊が因果律にまで及び、巻き込まれた存在がどこか別の時間軸などに迷い込んでしまう現象)に遭わせるほどの威力があるらしい (クウガもどきさんより) |
・空間転移 | 鈴乃宮 詩月 |
鈴乃宮学園の分身とも言える詩月の使える能力・・・と書くと大層な気がするが、実際は鈴乃宮学園という学校の幽霊が形成している体内の空間のつながりを自在に変化させてあたかも瞬間移動のように移動しているだけである。しかも自分自身を完全に制御できず、転送先がはっきりと決定できている訳でもないのでさらに始末が悪い。(クウガもどきさんより) |
・スーパーウルティメート花鳥風月斬 | 夏輝 |
花火大会で四季少女達(シーズンシスターズ)の夏輝が春香に対して繰り出した技。 両手に持つ噴出形花火を剣にして振り上げ、相手に放つもののようである。作中ではもう一歩のところで砂浜の砂に掘られていた孔に足を取られ、春香のネズミ花火による逆襲を喰らった。 どうでもよいが、何故に着物+草履でこの技が放たれるまでの高機動性が確保できたのか謎である。 最後に一言、『よい子は絶対に真似をしないでね』 「何の。所詮、砲撃型は後方支援機。近接戦闘では脆いもんなんだよ」(クウガもどきさんより) |
・秘技ロケットパンチ | 四季少女達の一人(秋菜?) |
四季少女達(シーズン・シスターズ)の秋菜(と思われる)が使用した技。 自身の身体構造を利用して手首部分のパーツだけぶん投げるかして相手にぶつける技である。(クウガもどきさんより) |
・胴体分裂 | 春香 |
四季少女達(シーズン・シスターズ)の1人である春香の技。手足だけでなく胴体までもがバラバラになれるのは春香だけである。・・・・・なんの役に立つのだろうか。(クウガもどきさんより) |
・必殺、よい子は真似しないでねスペシャル | 春香 |
花火大会で四季少女達(シーズンシスターズ)の春香が夏輝に対して繰り出した技。 大量のネズミ花火を相手のすぐ傍で爆ぜさせるというもの。「スーパー 〜(以下略)」を繰り出した際、砂浜の穴に填った夏樹がかわせる筈も無く、その攻撃をモロに喰らってしまった。 「昼間コツコツと掘っておいた甲斐があるというものっ! くらえネズミ花火! 必殺、よい子は真似しないでねスペシャル!!」(クウガもどきさんより) |
・狐火 | 紅葉 |
妖狐である紅葉が使用する術で、別名「紅葉砲」(3巻にて鈴乃宮詩月が命名) 狐が扱うとされる鬼火の一種で、術式による炎を操る。内容はまず紅葉の周りを衛星のように複数の狐火が展開され、紅葉の命令1つで一斉に敵性行動を開始することができるというものである。 悪霊の襲撃時においてはアグニの陰陽術や優樹の左手のお守りと同様に数少ない重要な戦力として数えられており、制御次第で攻撃のバリエーションは多彩になる様なので、実際に戦術的運用を想定すると使い勝手はかなりいいと思われる。 (クウガもどきさんより) |
・封禁結界 | アグニエシカ・グラバルティック・阿倍野&ヒムリール |
文部科学省陰陽課職員でもあるアグニがヒムリールと融合した状態で使用する術式。 おそらく対象を結界で覆いつくし、外部と遮断することで対象を封印する結界術式と思われる。 まず「急々如律令」の詠唱と共に形成された簡易呪術陣に連動させて大規模な術式を形成した後に起動する。起動した後は術者の足元に曼荼羅状の呪術陣が形成され、術式完成と同時に出現して飛び回る『禁』『封』の二文字の軌跡の残滓が網の目状に結界を形成する。結界自体が完成した後は追加術式によって結界を強化し続けることも可能。 作中では対象を封印して出られなくするのではなく、虎丸の対象(つまり鈴乃宮学園)への進入を防ぐために使用。これによって進入しようとしていた虎丸をかろうじて外郭部の外まで追い返すと同時に鈴乃宮学園という巨大な幽霊の外郭を形成する結界を内側から強化した。ただ、虎丸自身の霊力がこの結界を圧倒しているため、侵入を防ぎ続けるためにアグニは舞踏呪術によって術式を強化し続けた。(クウガもどきさんより) |
・優樹ミサイル | 鈴乃宮 詩月 & 紅葉 + 長居 優樹 |
威力だけならギャグのレベルではすまないが、一応対悪霊用のギャグ技。優樹の左手の護符の威力を信じて優樹を投げつける。優樹(の左手)に当たった悪霊は膨大な破魔の力で一瞬にして浄化・消滅する。実際優樹の左手の護符はアグニや紅葉の霊的な攻撃効果よりも遥かに強力ではあるのだが・・・事前の打ち合わせや本人の意見など関係なく投げられる者としてはたまったものではない。 詩月「優樹!」 「頑張ってね!」 優樹「な―― 何を―――」 詩月「優樹ミサイル発射!!」 紅葉「発射だよぅ」(クウガもどきさんより) |