柳生十兵衛死す  [必殺技辞典]

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 慶安年間の江戸時代。大和国柳生の庄で、唐竹割りにされた死体が発見された。ものの見事に切り殺されているその死体はなんと、他でもない柳生庄の主である柳生十兵衛三厳であった。天下無敵の剣豪・柳生十兵衛を殺したのはいったい誰なのか?
 この物語は、稀代の剣豪・柳生十兵衛が陥った世にも奇怪な事件の顛末を描いたものである・・・・・・・


 慶安の柳生庄に住む柳生十兵衛三厳は、将軍家指南役を弟に譲り悠々自適の生活を送っていた。だが彼は、能役者・金春竹阿弥とその息子・七郎に巻き込まれる形で、天皇家や将軍家を揺るがす大事件に巻き込まれた。自ら編み出した“新陰流・離剣の剣”なる技を使い剣腕を振るう彼だったが、竹阿弥が演じる能の力で室町時代に精神だけがタイムスリップしてしまった
 その室町には、柳生十兵衛三厳の先祖に当たる柳生十兵衛満厳が存在していた。時の将軍・足利義満の護衛を勤める彼は、能役者である世阿弥およびその縁で知り合った一休母子に巻き込まれる形で、天下を揺るがす一大事件に巻き込まれる。室町の剣法・“陰流”の技を振るい活躍するが、彼もまた能の力で精神が江戸時代にタイムスリップしてしまう。しかも、室町へ行った慶安の十兵衛と入れ替わる形で・・・・・
 二人の十兵衛が織り成す、時代を超えた物語。稀代の大剣豪たる彼らがたどる運命の結末は、どのようなものになるのであろうか?



作者・・・・・・・山田風太郎
連載・・・・・・・毎日新聞
山田風太郎最後の作品となった時代伝記小説。俗に『柳生十兵衛三部作』とよばれる作品群の最後にあたり、“無敵の剣豪”・柳生十兵衛の死に様を描いている。



○陰流
室町の剣豪・愛州移香斎が編み出した流派。その奥義は、己の心を相手から隠すことで姿までも隠しすことができる。これにより、相手は使い手の姿を見失い攻撃をなすすべなく受けることになる。移香斎の弟子である室町の十兵衛も使用できる。
室町時代に飛ばされた江戸の柳生十兵衛も使用できるようになった。

離剣の剣 柳生十兵衛三厳、柳生十兵衛満厳
柳生十兵衛死す
江戸時代の柳生十兵衛が編み出した新陰流の技。己の内に二つの心を持つことで、殺意を持った相手にだけ見える自分の分身を作り出す。これにより相手は心乱れ、その隙を突かれて倒されるのである。江戸の十兵衛はこの技を利用した戦法を「水月」と名づけている。
江戸時代に飛ばされた室町の柳生十兵衛も、この技を会得した。彼の場合、2体の分身に実体を与え同時に攻撃することが出来る。(ケケケさんより)


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