江戸時代、田沼意次が権力を握り金権政治が蔓延した時代。意次の息子・田沼山城守意和は、幕府御納戸頭の娘・いさに目をつけ妾にしようと考える。だが、いさには佐野善佐衛門という心に決めた男がおり、意和の話を受け入れられるはずがなかった。相手の地位が地位だけあり無下に断れないいさは、彼女の母や服部家と古い縁がある梟無佐衛門に相談する。そして相談を受けた無佐衛門は、己の忍法「袋返し」を使って、いさの窮地をどうにか切り抜けるのだが・・・・・・・・・
山田風太郎・忍法帖小説短編のひとつ。「オール読物」63年4月号に掲載された。 |
・袋返し | 梟無左衛門、服部水翁 |
伊賀忍法のひとつ。女性の子宮に手を突っ込んで引っ張り出し、胎内の赤ん坊に細工する。まだ形が定まっていない赤ん坊を、自在に改造することができるのである。簡単な整形はもとより、その気になれば奇形すら容易く作れてしまう。あまりにおぞましいその内容ゆえ、代々の継承者たちは滅多なことでは使おうとしなかった。(ケケケさんより) |