江戸時代、天和元年。不作と過酷な苦役で人々が苦しむ上野国・沼田藩に、3人の忍者が潜入した。大老・堀田筑前守の命を受け、沼田藩主・真田伊賀守を探るためである。首尾よく証拠をつかんだ3人だったが、沼田藩子飼いの忍者に見破られ、ひとりは死にもうひとりの甲賀大八も重傷を負ってしまった。最後のひとり・くノ一のおふうは、その大八から切り落とした男根・忍法「はぐれ雁」を託される。甲賀の血を残すため、愛する大八の願いをかなえるため走り続けるおふうは、無事に使命を果たすことが出来るのであろうか?
山田風太郎・忍法帖小説短編のひとつ。「オール読物」66年1月号に掲載され、短編集収録時には『捧げつつ試合』という題に変更されている。 |
・はぐれ雁 | 甲賀大八 |
甲賀忍法のひとつ。自らの男根を切り離しながら、その生命を保たせる。その男根は女性の手で握られ、暖められている間は生命を失わずに保ち続けるのである。大八が語るところでは、この男根が生きたまま女性の膣内に入ったら、その女性は確実に妊娠するのだという。 (ケケケさんより) |