柳生忍法帖  [必殺技辞典]

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 江戸時代の寛永十九年。会津藩四十万石の藩主・加藤明成は、人を人とも思わぬ残虐非道の行いで恐れられていた。譜代の家臣・堀主水とその一族は、彼の行状を諌め謀反を起こしたが、鎮圧され捕らえられたあげく処刑されてしまう。しかも、男子禁制の女人寺・三大将軍・家光の姉である千姫が治める尼寺に逃げ込んだ女達すら、明成の懐刀である精鋭集団・“会津七本槍”によって、七人を残して惨殺の憂き目にあったのだった。
 かろうじて生き残った七人の女は、悪逆非道の明成と七本槍に復讐を誓う。だが、人間技とは思われぬ武術を操る七本槍と、会津藩四十万石の力を持つ明成相手では成す術が無い。この事態に千姫は、彼女らの復讐を手助けするための助っ人を呼び寄せる。それこそは、徳川家光の師匠・沢庵禅師と、天下無敵の剣術で知られる隻眼の剣豪・柳生十兵衛三厳である・・・・・
 素性を隠すため、般若面をつけて活動する十兵衛。彼の指南を受け、屍山血河を築いていく堀の女たち。果たして彼らは、強大な会津藩と七本槍を相手にどのような戦いを見せるのであろうか?


山田風太郎忍法帖小説シリーズ第10弾にして、『十兵衛三部作』の第1作目。題名に反して「忍法」はほとんど出てこないものの、尋常ならざる武術を使う七本槍と丁々発止の駆け引きを行う十兵衛一行の戦いは読者を興奮の渦に巻き込む。
なお本作は元々、『尼寺五十万石』というタイトルで新聞連載されていたが、単行本化の際に現在の題名に変更された。

夢山彦 芦名銅伯
柳生忍法帖
芦名衆の首領・芦名銅伯が使う幻法。自らが見る夢を鏡に映し、それを幻像として起きている者に見せる。その玄妙さはすさまじく、銅伯ですら滅多に使わない秘術中の秘術である。なお、この術の使用には、三角の護摩壇に女二人分の血を燃料にした炎を燃やし、奇怪な呪文を唱える必要がある。

なむ、にけんだ、なむ、あじゃはた、そわか・・・・・・
おん、ばざら、ぎに、ねんばたな、そわか・・・・・・
南無、火天閻魔王、火の音を天鼓になさしめたまえ
南無、大憤怒魔王、満天破法、十万の眷属、八万の悪童子、こたびの幻法夢山彦に加護侯えー(ケケケさんより)

霞網 香炉銀四郎
柳生忍法帖
会津七本槍のひとり、香炉銀四郎の技。女性の髪に秘伝の香を焚き染めた網を使い、標的を絡めとる。その丈夫さたるや大の男が力をこめても切れず、刀を振るっても断ち切れないほどである。さらに、捕らわれた者は満足な呼吸もままならず、やがては絞め殺されてしまうのである。 (ケケケさんより)

まんじ飛び 野牛十兵衛など
柳生忍法帖
十兵衛が堀の女たちに教えた馬術の一種。左右から走ってくる馬に乗った二人が、宙を飛んで入れ替わる。走っている馬から馬に飛び移るのだから、しくじれば当然地面に転ぶことになる。犬に襲われた籠からの脱出にも使用した。 (ケケケさんより)

柳生流蜂ふせぎの秘術 柳生十兵衛三厳
柳生忍法帖
堀の女たちとの修行中に使用? 飛んできた蜂を、堀の女たちに防いでもらう。本人が使おうとしたわけではなく、堀の女たちが蜂に驚いて十兵衛に抱きついた様子を沢庵が冷やかして名づけたものである。 (ケケケさんより)

天狗飛び お笛、お品
柳生忍法帖
十兵衛が堀の女たちに教えた技のひとつ。大木にかけた網を振り子のようにして勢いをつけることで、剣を突き出して目標の頭上に飛び降りる。具足丈之進と犬に致命傷を与えた。 (ケケケさんより)

なまり胴 芦名銅伯、おゆら
柳生忍法帖
芦名衆の首領・芦名銅伯が使う忍法。相手の武器が斬り込まれた瞬間、その部分の肉体を鉛のように凝縮して受けとめる。その効果たるや十兵衛の一撃でもびくともせず、逆にその武器を奪い取ってしまうほどである。
この忍法は本来、不死身の肉体を持つ胴白だからこそ成しえる。そのため、おゆらは一応成功したものの、剣で切り込まれて致命傷を負ってしまった。(ケケケさんより)


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