著者:榊一郎 イラスト:中村龍徳 レーベル:MF文庫J(メディアファクトリー 刊) 【あらすじ】 火災によって両親を失った神薙紅蓮は、引き取られた先の親戚で何かと紅蓮に世話を焼く幼馴染、笹原琴音との仲を冷やかされながらも続く日常を享受していた。 そんなある日、いつもの様に下校中の紅蓮は突然異形の化物に襲われる。化物の圧倒的な身体能力になすすべも無く死を覚悟したとき、脳裏に呼びかける声が響き自らもまた異形の化物へと姿を変えていたのだった。 異形の姿に変身した紅蓮は襲ってきた化物をも上回る圧倒的な身体能力でかろうじて化物を退けるが、自らに起こった出来事に混乱する紅蓮の前に、古来より化物を狩る組織「御火槌」の一員と名乗る者達が現れる。 その時から紅蓮の平穏な日常は失われ、異形の化物「宿鬼(ヤドリギ)」との果て無き戦いの日々が始まるのだった… 【作品紹介】 スクラップド・プリンセスやストレイト・ジャケット等でお馴染の榊一郎が描く作品。 仮面ライダー(石ノ森章太郎 著)等に代表される所謂変身ヒーロー物であり、人喰いの化物「ヤドリギ」との戦いや神薙紅蓮の周囲の人間模様を通じて彼の成長を描く作品である。 全体的に暗く残酷な描写もMF文庫や同作者の作品の中でも多い通称「黒榊」と呼ばれる部類に含まれ、特に多数のヒロインによる恋愛模様をレーベル販売戦略の中核としているMF文庫の読者の間では著者の同レーベル前作「イコノクラスト!」と併せてMF文庫の異端児とも呼ばれる。 【既刊一覧】 ・ミカヅチ(2010年2月25日発売) ・ミカヅチ2(2010年5月25日発売) ・ミカヅチ3(2011年2月25日発売) ・ミカヅチ4(2011年9月22日発売) ・ミカヅチ5(2012年1月25日発売) 【用語解説】
初登場:1巻 御火槌が古来より研究・開発を続けている対ヤドリギ用決戦兵器の総称。 単体もしくは少数個体でヤドリギとの戦闘及び討滅を可能とする呪術式改造人間のこと。 今現在、計画立案初期における要求スペック(後述の「修羅奇兵計画」参照)を実現できる個体は神薙式の一体を除いて存在しない。 初登場:作中未登場(3巻にて説明のみ登場) 御火槌七家の一つ、十六夜家が開発を進める修羅奇兵。 作中では御杖代家代表、御杖代雪緒によって存在が語られたが、未だ運用段階にすら到達していないとのこと。 初登場:1巻 没落したとされた御火槌七家の一つ、神薙式が独自に完成させた修羅奇兵。 呪詛を視覚情報として認識できる能力を持ち、二対四本の腕と黒い外骨格を持つ修羅奇兵である。 素体となる人間に他の人間の魂と高密度の呪詛を移植し、インターフェースたる人工人格を介して制御することで人間でありながらヤドリギに近い性質を維持している。 壷毒法をベースに開発された修羅奇兵であり、修羅奇兵計画により開発された個体の中で唯一、実現不可能とされた計画立案初期の要求スペックを全て実現した個体である。 しかし試作個体完成直後の一般人の手による放火により、完成した試作個体を除き開発者及び全研究資料が焼失したため量産が現在不可能となっている。 初登場:4巻(3巻は説明のみ登場) 現在の御火槌七家における最大勢力、御杖代家が実用化した修羅奇兵。 人間の姿に酷似する、一対二本の腕と白い外骨格を持った修羅奇兵である。 人間を修羅符の発展系である強化術式で呪術強化し、負荷によって破損する人体部位を常に治療系術式で治療し続けることで補う個体である。性質的には強化人間に近い。 神薙式修羅奇兵程の高い戦闘能力は持たないが、従来数十人規模による戦闘要員と同等数のバックアップ要員を必要とする第三段階ヤドリギ1体との戦闘を5〜6体程度でこなすことが可能。 初登場:1巻 大都市の発展により、集団によるヤドリギの討伐・封滅戦闘における隠密性維持の困難性の指摘、ヤドリギ増加に伴う戦力の飽和が指摘され、その解決のために御火槌衆内で考案された計画。 計画の概要は、従来の組織的戦闘集団に替わる強力な戦闘要員として呪術改造人間「修羅奇兵」を開発・投入し、単騎もしくはごく少数によるヤドリギの討滅を行うというものである。 初期計画案における要求スペックは「単騎でヤドリギとの戦闘から封滅までの一連の作業をこなすことの出来る個体」であったが、研究が進むにつれてその要求スペックの実現がほぼ不可能と判断され、最終的には「少数でヤドリギとの戦闘作業、可能ならば封滅作業までをこなすことの出来る個体」に下方修正された。 初登場:1巻 古来より人間に害を及ぼしてきた呪術生命体「宿鬼(ヤドリギ)」への対処のために設立された日本国の国家組織。 元は朝廷の機関たる陰陽寮に端を発する呪術集団であり、古来より政治等に関わらない誓約の元に古来より人間に擬態しているヤドリギの討伐に関する業務全般を行う特務集団である。 組織構成は御火槌七家代表(現在は6名)で構成される意思決定機関、ヤドリギとの直接戦闘を行う実働部隊「破組」、ヤドリギの捜索及び区域封鎖等のバックアップを行う後方支援部隊「索組」、破組が討伐したヤドリギの本体を術式によって封滅する封滅部隊「滅組」、戦闘後等のヤドリギや呪術戦闘の痕跡隠蔽等事後処理を担当する部門「繕組」、各部門に必要な装備等を調達・提供する「装組」からなる。 元はヤドリギの一体が、天敵の存在しないヤドリギの天敵となり個体数のバランスを取るためのヤドリギの天敵とするべく支配者層に働きかけて設立させた組織であるが、4巻にてヤドリギ達の集団の強襲により一部末端構成員を除いて壊滅した。 初登場:1巻 古来より御火槌を構成している、呪術を主な生業とする七つの家系の総称。 呪術研究の盛んな「御杖代家」「十六夜家」「神薙家」、対外交渉などに長けた「伽藍堂家」、武闘派派閥である「惑羅葉家」の存在が判明している。 神薙邸放火事件により神薙家が壊滅し、後に本編第四巻のヤドリギによる一斉蜂起により残りの一族もほぼ壊滅した。 初登場:1巻 人間に寄生して宿主を変異させ、人間を糧とする呪術生命体。 人間に寄生し、その構造を内部から変異させて自らの肉体へと作り変える。その身体機能は人間を大幅に凌駕し、成長が進んだものは特殊能力を使用できる。 寄生の段階は主に寄生後宿主に気付かれず宿主の肉体を作りかえる第一段階、宿主の精神面を侵食し衝動的な暴走の多い第二段階、自我が安定し理性と特殊能力を得た第三段階の計三段階に分けられる。特に宿主が精神的に何らかの不安定な部分を抱えた人間であるほどヤドリギの成長速度が速く、場合によっては寄生から数日で第三段階まで成長する個体も存在する。 その由来などは不明だが、主に都会等の人口密集地帯に発生することが判明しており、ヤドリギ自身は誕生理由を「知恵を得て天敵が存在しなくなった人間の新たな天敵になるため」と推察しているが詳細は不明である。 |
・飛雷震 | ヤドリギ |
大柄な男の姿をした第三段階ヤドリギが使用する能力。4巻初登場。 本来目に当たる部分に生えている突起物から、高電圧の雷撃を発する能力である。(クウガもどきさんより) |
・二重迅拡(ダブルキャスト) | ヤドリギ(坂巻浩介) |
浩介に寄生し第三段階に成長したヤドリギの固有能力。第3巻初登場。 視界内に自分自身と同等の能力を持ったいわゆる二重存在(ドッペルゲンガー)状の分身を作り出す能力で、分身後は本体と分身の区別がなく双方が自在に本体にも分身にもなれる。 ただし分身を生み出し、行動させることができる範囲は全て視界内に限定されており、また本物を含めて同時に二体にまでしか分身できない。 (クウガもどきさんより) |
・伝書鳩 | ヤドリギ(杉崎由奈) |
由奈に寄生し第三段階に成長したヤドリギの固有能力。第2巻初登場。 自らの体組織の一部をあらかじめ対象物につけておくことで、その対象物を自在に手元へと引き寄せることができる。 あらかじめ体組織の一部をつけておくという手順を踏まなければ使えないものの、条件さえそろっていればその有効範囲は非常に広く、また連続して引き寄せることも可能。 (クウガもどきさんより) |
・時限爆弾 | ヤドリギ(御杖代彩花) |
彩花に寄生したヤドリギの第三段階が使用する能力。4巻初登場。 自身の血液を媒介に、血液の周囲にある空間を丸ごと瞬時に圧縮する能力である。 ごく微量の血液でも発動可能であり、基本的に一定時間で発動する時限式ではあるが、術者の任意で発動することも可能。 時限式能力発動の場合は術者が目視する必要は無いが、任意発動時は能力を発動させる血液を直接目視する必要がある。(クウガもどきさんより) |
・十字法 | 神薙紅蓮&神薙深紅 |
神薙式修羅奇兵のみが保有する封滅術式。第2巻初登場。 変身等に使用する九字法(九字護身法)の末尾に「破」の文句と印を加えることで構成された改良術式であり、修羅奇兵の両腕でヤドリギの本体ともいえる呪術生命体を直接捕縛し、残った一対の補助腕を使い印を組むことでヤドリギ本体を消滅させる、とみせかけて修羅奇兵のインターフェース(おそらく呪術処理によってヤドリギに限りなく酷似した存在)となった紅蓮の妹の深紅が相手ヤドリギ本体を捕食する。 なお、神薙式修羅奇兵である紅蓮はこの術式によって、計画中の量産型修羅奇兵を含めた御火槌(ミカヅチ)の戦力の中で唯一、ヤドリギの事後処理を含めた単体でのヤドリギとの戦闘行動を可能とする。 (クウガもどきさんより) |