風来忍法帖 [必殺技辞典]

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時は天正十八年、関白・豊臣秀吉が関東を治める北条氏を攻撃する・“小田原攻め”が行われている戦国時代の真っ只中。敵味方が入り乱れる戦場を渡り歩く七人の香具師がいた。仲間通し強い結束を持つ彼らは、イカサマ博打で楽しんだり、美女と見ては強姦して売り飛ばすなど、好き勝手気ままに戦国の世を渡っていたのである。
 そんなある日香具師たちは、名将・大田三楽斎の孫娘であり、北条方の武将のところに嫁入りした麻也姫と遭遇する。麻也姫を美人と見た香具師たちは彼女にちょっかいをかけるが、彼女を守る風摩の忍者三人衆によって手ひどく痛めつけられてしまった。反骨精神旺盛な彼らは、このしかえしに麻也姫を強姦して売り飛ばそうと考え、ひそかに彼女の誘拐をもくろむ。だが、普通の手段ではとうてい忍者には勝てない。そこで彼らは、自分達もまた風摩に入って忍術を身につけるという奇策ひねりだし、その技で麻也姫をモノにしようと企んだ。だが、麻也姫が城主の妻として守ることになった忍城は、石田三成率いる上方の大軍勢に狙われていた。しかもその中には、麻也姫を守るはずだった三人の風摩忍者までが加わっていたのである・・・・・・・・
 果たして、孤立無援の麻也姫はどうなるのか? 彼女を狙う香具師たちは、大軍勢と忍者相手にいかなる戦いを挑むのか?

作者・・・・・・・・・・・山田風太郎
連載・・・・・・・・・・・週刊大衆
風太郎忍法帖長編シリーズ第6弾。自由気ままな香具師や、気丈で誇り高い麻也姫、化け物じみた風摩忍者など魅力的な登場人物が多く、忍法帖シリーズの中でも人気が高い。作品全体で人が死にまくる(特に後半)が、登場人物が醸し出す雰囲気が明るいせいか、陰鬱さよりも爽やかさを感じさせる。

クメの逆仙術 悪源太助平
風来忍法帖
七人の香具師のひとり、悪源太ガ使う忍法。悪源太が高いところで呪文を唱えると、下界の女たちがひっくり返る。下界の女を見てひっくり返った久米仙人の話を逆にしたような効果なので、この名がついている。風摩三人衆をからかうために使ったが、実は風摩のくノ一と計った芝居だった。
ちなみに、この時源太が唱えた呪文「ヤチモロジンバリペテポウアッタモン」は香具師の隠語であり、訳すと「助平好色漢馬鹿頓馬」になる。 (ケケケさんより)

通し矢の眼 お燕
風来忍法帖
風摩忍法のひとつ。この世のあらゆる物を、ガラスのように透き通ってみることができる。この忍法を使うと、あらゆる物の輪郭しか見えない世界になり、変装や隠密も難なく見破ることができる。ただし、普通の意味ではほとんど盲人も同然になってしまう。
なお、この忍法をつかうときは、「自らの目に愛液を塗りつけ太陽の光に当てる」という準備が必要である。 (ケケケさんより)

扇針 お鷺
風来忍法帖
風摩忍法のひとつ。指の間に挟んだ10本の針を飛ばす。この針は術者の意のままに宙を飛び、四方八方の空間を一斉攻撃することができる。また、投げつけるモーションすら見えないので、このホーミングミサイルのような針を避けるのは極めて困難である。 (ケケケさんより)

柳葉刀 お鳶
風来忍法帖
風摩忍法のひとつ。柳の葉のように細い刃物を大量に投げつける。この刃物は両先端が針のように尖っているのみならず、非常に薄く鋭いため、どこが触れても相手を切り裂くことができる。お鳶はこれを一度に数十枚も投げつけて、相手をズタズタにすることができるのである。 (ケケケさんより)

風琴 風摩のくノ一
風来忍法帖
風摩忍法のひとつ。一条の髪の毛を空中に張り巡らし、侵入者を感知する。もしコレが誰かに触れるならば、糸は常人には聞こえないほどの音を発する。術者はこれを聞き、敵の進入を察知するのである。(ケケケさんより)

恋さみだれ 風摩のくノ一
風来忍法帖
風摩忍法のひとつ。股間から異常に粘つく愛液を放つ。この液は空気に触れると直ちに粘体となり、標的を捉えて雁字搦めにしてしまう。その粘着力たるや、大の男が6人がかりで身動きもできないほどである。一度掛かれば皮膚でも剥がさない限り脱出できないが、粘体自体は数分と持たずに乾燥して崩れてしまう。 (ケケケさんより)

子宮針 風摩のくノ一
風来忍法帖
風摩忍法のひとつ。子宮に入れた針を股間から発射し、相手を攻撃する。この針には毒が含まれており、刺された者は直ちに体が麻痺して動けなくなる。妖艶な姿で男を誘い、暗殺するための忍法である。 (ケケケさんより)

水琴 風摩のくノ一
風来忍法帖
風摩忍法のひとつ。一条の髪の毛を水中に張り、侵入者を探すセンサーとする。「風琴」の水中版であり、特徴もまったく変わらない。 (ケケケさんより)

茎鈴の験し 風摩小太郎
風来忍法帖
風摩忍法のひとつ。風摩組志願者を試験するための技で、その者の忍耐力を試すことができる。志願者の男根に鈴を結びつけて誘惑させ、その者の忍耐力を測るのである。この鈴は志願者の心理を如実に反映しているが、意志力で耐えるやつもたまにいる。
なお、この術を使っている間、志願者は風摩のくノ一によって舌を奪われている。(ケケケさんより)

黒犬の法 風摩小太郎
風来忍法帖
風摩忍法のひとつ。人間の骨格を改造し、さらには大量の毛を植えつけることで黒犬そっくりに変えてしまう。見た目は犬そのものであり、容易に見分けは付かない。さらに舌を奪われているため、人間の声を発することもできない。人を畜生に変える長路べき忍法である。 (ケケケさんより)

速歩術 風摩忍者
風来忍法帖
風摩忍法のひとつ。通常の何倍ものスピードで走る。蟹のような横這い走りで、急いでいるように見えないのだが、それが普通に走るより速いのである。風摩組に入って日が浅い香具師たちが使えたところを見ると、風摩忍者の基礎科目と思われる。 (ケケケさんより)

糞剣 風摩忍者
風来忍法帖
風摩忍法のひとつ。大便をこねあわせて伸ばし、一本の剣を作る。この忍法を使えば、寸鉄も丸ごと奪われた時でも、とりあえず武器は確保できるようになる。 (ケケケさんより)

風閂 戸来刑四郎など
風来忍法帖、伊賀忍法帖など
風摩忍法のひとつ。一筋の髪の毛を操り、あらゆる者を切り捨てる。この髪は人間はおろか、大木まで難なく二つにする切れ味を誇っている。使い方も多岐に渡っており、空間に張ってトラップにしたり、紐のように縛り上げたり、先の様子を探るセンサーとして使ったりといった応用技が存在する。
『伊賀忍法帖』では、服部半蔵配下の伊賀忍者が使用した。 (ケケケさんより)

落花もどし 戸来刑四郎
風来忍法帖
風摩忍法のひとつ。自ら切り落とした体の部品を、意のままに操る。たとえ五体バラバラになったとしても、術者の意思ひとつで動き、元通り復元するとことすら可能なのである。防御や回避の技として使う他、わかりやすい脅しにも使われる。ただし、本体から離れた部品に毒が回っていたりすると復元は不可能になる。 (ケケケさんより)

犬伏せ 麻也姫
風来忍法帖
石田三成の追っ手から逃れるために使用した技。犬たちを横一列に並べてその上にうつ伏せになり、犬たちと一緒に突撃する。人間より遥かに速い犬の速度で、敵から逃げ延びる技である。この技はもともと、“犬つかい三楽”の異名を取る麻也姫の祖父・大田三楽斎が使った「遁法」である。 (ケケケさんより)

砂鋳型 御巫燐馬
風来忍法帖
風摩忍法のひとつ。砂で作った女性の人型に自らをはめ込むことで、その女性そっくりに変身する。見た目はおろか性器の内部もそっくりで、交合した男をすら欺くことが可能である。ただし、変身できる女性は本人が欲情できる者に限られる。
元に戻るときは燐馬自身の鋳型を使うのだが、これが壊されると本人の術がすべて失われてしまう。 (ケケケさんより)

千畳返し 御巫燐馬
風来忍法帖
風摩忍法のひとつ。足元の畳を跳ね上げて、盾やバリケードのような障害物にする。燐馬が少しでも触れた畳はすべてこの技の対象になるので、部屋を走りまわりながら畳の山を作ることができる。 (ケケケさんより)

忍びの水月 累破連斎
風来忍法帖
風摩忍法のひとつ。全身から分泌する体液を物に塗りつけると、その部分がガラスのような鏡になる。この鏡は破連斎の姿を乱反射して写し、四方八方に分身したように見せかける。相手を惑わして攻撃するほか、その方向感覚を狂わせることも可能である。 (ケケケさんより)


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