20世紀末、突如勃発した全面核戦争により壊滅の危機に陥った人類は、闇の世界より進出した“吸血鬼(バンパイア)”に支配された。人類を遥かに上回る肉体能力・超科学力と不死の生命を持つ彼らは自らを“貴族”と称し、人類を徹底的に抑えて大いなる繁栄を遂げる。だが、彼らもまた長き時の間に衰え、西暦12090年では辺境各地を細々と支配する存在に過ぎなかった。多くの人々には未だ恐れられていたものの、彼らの滅びは目前に迫っていたのである。 一方、人類の中には、環境の激変や遺伝子工学によって生み出された怪物、さらには貴族との戦いを生業とする者たちがいた。“ハンター”と総称される彼らは様々な職種に分かれていたが、貴族と戦う“吸血鬼ハンター”はその中でももっとも実力が高い存在として畏怖されていた。 その中のひとり、Dと名乗る吸血鬼ハンターは、ハンターの中でももっとも知られ恐れられた人物。人と貴族の間に生まれた“ダンピール”である彼は、超絶的な美貌と恐るべき技を持ち、その名は辺境中に知れ渡っているのだ。だが、人と貴族両方の血を引く彼は、そのいずれからも受け入れられない宿命を持っていた。 左手に寄生した人面疸とサイボーグ馬を道連れとし、果てしなき辺境を旅するD。無限の時と距離を越える旅路で、彼が見出すものとは・・・・・・・・・・? 作者・・・・・・・・・・菊池秀行 出版・・・・・・・・・・朝日ソノラマ 『魔界都市<新宿>』でデビューした菊池秀行の、伝記サイバーアクション小説シリーズ。20年以上前から今なお書かれる長寿作品であり、『魔界都市シリーズ』などと並ぶ作者の代表作である。 今までに二度、劇場映画化されており、特に後者の評価が高い。 |
・念力放火(パイロキネシス) | イゾベルの恋人 |
イゾベル将軍の恋人が使う能力。その両目が燃え上がると同時に、対照を包む炎が発生する。Dを焼き尽くさんとしたが、かまわず反撃したDに破られた。(ケケケさんより) |
・王国 | エグベルト |
ギリガン五人組のひとり・“国王(キング)エグベルト”の能力。自らの妖術を施した輪を地面に描くことで、その内部の空間を自在に操る。何の変哲も無い地面を海に変え、どこからか兵士を呼び、空気成分や重力を変化させることも可能なのだ。(ケケケさんより) |
・ノスタルジア | ”思い出”サモン |
ギリガン五人組の一人サモンが使う術。対象の思い出の中からもっとも強い印象を持った人物に成りすますことで、対象を自在に操ることができる。強制力は強く、自殺させることすら可能。思い出を持たないクロロック教授と、思い出を振り切ったDには効果がなかった。(ケケケさんより) |
・物質消滅の技法 | ギャスケル大将軍 |
貴族すら恐れる大貴族・ギャスケル大将軍の技。物体の存在を徐々に薄れさせ、最終的にはこの世から完全に消滅させてしまう。ギャスケル大将軍のみが使いこなせるといわれており、将軍が恐れられた理由のひとつである。(ケケケさんより) |
・説教術 | キュリオ |
“ヴァルキュアの七人”のひとり・“説教師”キュリオの技。異常な説得力を備えた話術を持って語りかけることで、相手の意志を自在に操る。その対象は生物・無生物を問わず、超古代のスーパーコンピューターですら操ることができる。術者が動揺するなどして説得力が薄れると、効果が弱まるようだ。 (ケケケさんより) |
・影盗り | ギリス少将 |
“招きびと”のひとり・“闇人”ことギリス少将の技。影に変じたギリスが相手の影を本体から奪うことで、相手本体の動きを封じる。(ケケケさんより) |
・視殺術 | ギル |
ジェネヴェ村に雇われた戦闘士ギルが生まれながらに使う術。視界におさめた対象に念を凝らすだけで、そのものを死に至らしめる。見つめるだけで虫は落ち、花は枯れ、人間の心臓を破裂させることができる。 (ケケケさんより) |
・黎明 | グレートヘン博士 |
“招きびと”のひとり・毒学者グレートヘン博士の秘技。自らが調合した四種の毒薬を四人の人間に飲ませる。するとその当人たちには異常無いが、四人の吐く息を吸った者は体内で微妙な化学反応を起こし毒素を蓄積していく。ここに最後の毒が加わると、それらが反応し犠牲者の体内で小規模な太陽となる。不死の貴族すらこの秘技にかかれば、内側から生じる太陽光に滅びを免れない。 (ケケケさんより) |
・ローレライ | グレン |
修業者グレンが使う技。口笛を吹くことで、相手の動きを自分に合わせさせる効果がある。同じように斬りかかっても、相手はまねている分動きが遅くなるので、紙一重で相手を先に倒すことができるという捨て身の技。(ケケケさんより) |
・スキン・ベール | 悟られずのツィン |
ギリガン五人組のひとり、ツィンの技。恐ろしく粘着力の強い体液を分泌し、相手を絡めとる。これに絡まれた状態で固まってしまえば、まず身動きもままならなくなる。Dの剣に付着し、その切れ味を鈍らせた。(ケケケさんより) |
・面移し | ザナス |
ヴラド三強のひとり・ザナスの妖術。対象にそっくりな面を作り上げることで、対象の魂を掌握し自在に操る。Dをも一時操ったが、菊地作品のお約束(人外の美貌は再現できない)通りに破られてしまった。 (ケケケさんより) |
・闇雲斬り | ジュサップ・トーレラン |
“ヴァルキュアの七人”のひとり・“首斬り役人”ジュサップの技。彼の振るう斧は、命中するはずのものには命中せず、攻撃が外れる物体には必ず当たる。すなわち、出鱈目に斧を振り回すだけで相手を切り裂いて倒すことができる。とはいえ、攻撃の軌道には法則性があるらしく、同じ相手に何度も使うと読まれる恐れがある。 (ケケケさんより) |
・首斬りロード | ジュサップ・トーレラン |
“ヴァルキュアの七人”のひとり・“首斬り役人”ジュサップの技。地面に血で記した真っ赤な道に足を踏み入れた者は自由を奪われ、そのまま首切台に上って首を切られてしまう。 (ケケケさんより) |
・偽装体妖術 | ジュラン |
らいアの家に居座った三人組のひとり・ジュランの術。何も無い空間から相手の姿を模した青い影を作り、それを消すことで相手本体までも消してしまう。ダイナスを消そうとしたが、Dに邪魔された。(ケケケさんより) |
・憑依能力 | ジョン・M・ブラッサリー・プルート八世 |
プルート八世が持つ技のひとつ。自らの意識を飛ばし、他人の意識をのっとることが出来る。一度憑依すればその者の記憶も読めるのでかなり便利な技であるが、吸血鬼などに使うと逆憑依をうけて自分が乗っ取られる。また、憑依している間は本来の肉体が無防備であるという弱点もある。(ケケケさんより) |
・分子浸透(モレ・インター) | ジョン・M・ブラッサリー・プルート八世 |
超能力の一種で、あらゆる物体を通り抜けることができる。人間を通り抜けると、放射性元素のバランスが崩れて青白い燐光を放つ。(ケケケさんより) |
・迷路 | スーラ |
“ヴァルキュアの七人”のひとり・巨人スーラの技。自らの周囲や円で囲んだ空間を迷路にする。その迷路は見た目は変わらないが中身は入り組んだ空間になっており、あらゆる攻撃を届かせることが無い。 (ケケケさんより) |
・逆しまの術 | トト |
“逆しまのトト”の得意技。両手に持った金属の輪を打ち鳴らして音を響かせることで、相手の行動のベクトルを変換する。それにより相手は前に進んだつもりでも、なぜか後ろや横に移動してしまうのだ。人間はおろか貴族をもこの術で操作することが出来る。 (ケケケさんより) |
・邪眼 | プライス |
少年戦闘士プライスの得意技。彼の瞳から発する赤色の光を見たものは、瞬時に盲目となってしまう。それに加え術にかかっている間、発狂せんばかりの痛みが対象にかけられる。Dに対して使ったものの、効いてはいなかったようだ。(ケケケさんより) |
・追い込み矢 | ボルゴフ・マーカス |
マーカス兄弟長男、ボルゴフの技。あらかじめ放った矢の軌道を計算したうえで波状攻撃を行ない、特定の場所まで追い詰める。相手の動きも計算に入れて成し得る神技で、人間はおろか貴族にすら仕掛けることが可能。(ケケケさんより) |
・空間歪曲(スペースワープ) | 麗銀星 |
怪魔団のリーダー・麗銀星の能力。自らの身体の内部に四次元の空間を作り出し、それを相手の体内に繋げてしまう。これにより麗銀星の頭部及び胴体への攻撃は、そのまま相手の体内に届いてしまうのである。ただし、逆に相手の体内も自分の体と繋がっているので、相手への攻撃は自分に跳ね返ることになる。(ケケケさんより) |
・花とりで | レディ・アン |
“招きびと”のひとりレディ・アン聖騎士の技。対象の周囲に自分が積んだ花を植えてとりでとする。レディ・アンが触れた花はあらゆるエネルギーを吸収する性質を持つようになるため、このとりでに触れた者はエネルギーを吸い尽くされる。 (ケケケさんより) |
・死煙 | ローランサン夫人 |
“招きびと”のひとり・ローランサン夫人の技。長いパイプから吐き出された紫煙が白い霧となって敵を包む。この煙の中には微細な“恋針”が無数に漂っており、それが対象に突き刺さって水分を抜き取りミイラ化してしまう。 (ケケケさんより) |
・瞬間反射鏡の技 | ロカンボール卿 |
”招きびと”とのひとりにして、稀代の狂人であるロカンボール卿の技。 相手の技を瞬時に見切って、自分の技にしてしまう。まさしく鏡のごとく真似るので、この名がついていると思われる。ギリス少将やシューマ男爵など”招きびと”達の技を身につけ、果てはDの剣技すら身につけたが、D自身にも予測し得なかった動きで破られた。(ケケケさんより) |