用語解説

◆ブロッキング
 実際の格闘にもある『はじき』や『いなし』をゲームに取り込んだ物で、この作品の根幹を占めているシステム。これについて本格的に語ると、『サイトが一つ出来てしまう!』程奥が深いので、ココでは簡単に。

 【相手の攻撃を受ける直前にレバーを前 or 下に入れる事】で攻撃を弾き、自身に有利な状況を作り出す。成功後は自分の方が少しだけ早く動けるので、反撃・仕切りなおしが出来る。
 ただし、前や下に連続でレバーを小刻みに入れても受け付けてくれないので、相手の攻撃にあわせてキッチリやらないといけない(多段ヒット技のみ一回目が成功すれば連続で弾ける)。

 『操作そのものは超簡単』なのだが、受付時間は、約0.1〜0.17秒なので、使いこなすには『馴れ』と『読み』、そして『思い切り』が必要(意外とテクニックは要らない。初心者でも『思い切り』があればすぐ出来ます!)。また、【レバー入力がガードと逆方向】と言うのもネック。もし失敗したら、相手の攻撃がクリーンヒットしてしまう!

 詰まり、非常にハイリスクなのだが、ストIIIには『無敵のある技が非常に少ない』上、『空中ガードが無い』(空中ブロッキングはある)ので、使わない訳にはいかないのである。コレが無いと、キャラにもよるが切り返しや割り込みが困難だ。

 だが、使いこなせればメチャクチャ強い。反撃し放題だしね(ちょっと言い過ぎか?)。

◆◆ガードブロッキング
 他の格闘ゲームにある『ガードキャンセル』と上記の『ブロッキング』を折衷したもの。

【相手の攻撃を連続でガードしている最中、次の攻撃が来た瞬間にレバーを前 or 下】でブロッキングする。体が赤く光るので、『赤ブロ』・『赤BL』とも呼ばれる。

 但し、受付時間が『0.03〜0.05秒』(鬼武者の『弾き一閃』と同じくらい)しかないので、普通のブロッキングと違い、相当練習しないと、たとえ上級者でもほとんど使えない。

 基本的には特定の技――主に突進系の連続攻撃(ユリアン『タイラントパニッシュ』等)に的を絞って使う。タイミングが取りやすいからだ。

 使いこなせれば、悪辣な『固め』に対抗する『最後の手段』として有効な一手となる。…が、激ムズ。

◆◆◆EX必殺技
 必殺技には小・中・大(正式には弱・中・強)とあり、それぞれ微妙に性能が違う(たまに例外アリ)。普段は通常技とコレを巧みに使い分け、状況に対処していくのだが、必殺技にはさらに強力な、『特大』と言えるバージョンが存在する。
 出し方は【必殺技のコマンド入力時にボタン二つ同時押し】。

 コレがEX必殺技で、無敵時間がついたり、ダメージが大きかったり、相手を自動追尾したり、と『便利で都合の良い』特性が付くようになる。EX○○(技名)・EX版・EXと呼ばれる事が多い。
 ストIIIは【EX版でない必殺技には無敵のある技がほぼ皆無!】なので、上手く使い分けなければならない。『あの』昇龍拳でさえも、EX版でなければこの世界では晃龍拳だ。 (※例外:ケン『昇龍拳(但し、【大】のみ。小・中は一切無敵ナシ)』、豪鬼『豪昇龍拳(EX必殺技が無いため)』)

 但し!【スーパーアーツゲージをある程度使う】、と言う条件付きである為、乱用は不可。
あと、投げ技には原則的にコレが無い。更に豪鬼とギル様には、EX必殺技自体が一つも無い(ギルは普通の必殺技が、どれもEX技クラスなので、不要。さすが神様)。

 なお、『ヴァンパイア』シリーズ(エスペシャル(ES)必殺技)や『メルティブラッド』(EXエッジ)にもほぼ同じシステムがある(ヴァンパイアが最初)。

◆◆◆◆スーパーアーツ(SA) / スーパーアーツセレクト
 ブロッキングと並んで、ストIIIの大きな特徴の一つと言えるシステム。略称はSA。
SNK作品(『餓狼伝説』等)の『超必殺技』や、ストZEROの『スーパーコンボ』、ギルティギアの『覚醒必殺技』等と大体同じもの。

 全てのキャラクターに【必ず3つ用意されている絶技】で、使うためには【SAゲージを一本消費】するので、気軽には使えない物が多い。

 コマンドはごく一部の例外を除き、所謂『真空波動コマンド』【下・右下・右×2+ボタン】(右向き時。左向きなら左右逆)で『ほぼ完全に統一』されており、ストZEROシリーズにあった『ダブルサマソーコマンド』・『ヨガフレイム二回コマンド』等の煩わしいコマンドは、ほぼ無く、操作がカンタンになった。

(※例外:アレックス『ハイパーボム』【レバー1回転+P】、ヒューゴー『ギガスブリーカー』【レバー2回転+P】、豪鬼『瞬獄殺』【小P・小P・レバー前・小K・大P】/『金剛國裂斬』【レバー下×3+パンチボタン3つ同時押し】、ギル『リザレクション』【KO時に自動発動】)

 但し、他の作品(ストZERO等)と決定的に違うのは、【試合開始前に、3つ用意された内から、絶対に1つを選ばないといけない】(!)事だろう。
 詰まり、KOFやストZERO、ヴァンパイアの様に、一試合中に自由に使い分ける事も出来ず、更に…

・SA1【そのキャラクターを代表する技】
・SA2【SA1が『使い難いが強力な技』なら使い易い技 or 逆に『使い易い技』だったなら使い難いが強力な技】
・SA3【反則技。或いは変則的・実験的な技】
(※種々の例外もあるが、基本的にコレに従って設定されている)

と『どれもそこそこ』だったストZEROと違い、非常に大きく差別化されている為、戦法まで変えなければいけない場合も少なくない。ストック数・ゲージの長さまでもバラバラだ(例外:豪鬼。全てストック2・ゲージの長さもまったく同じ)。
 但し、ケンや春麗の様に一つだけ飛び抜けていて、選択する意味の無いキャラもいたり、豪鬼の様に『どれもそこそこ』な代わりに、特殊SAを持つキャラも居る。

 因みにボス敵である、ギル様だけは3つのSAを同時に併用しやがります。流石『天帝』。

◆◆◆◆◆パーソナルアクション(PA)
 作品解説にも書いたが、『挑発+特殊効果』。動作には、皆の個性が現われてます。

 『特殊効果』の部分の効果はキャラクターによって違い、【次の一発だけ攻撃力アップ】・【薔薇を投げて、ちょっとした飛び道具に(ダメージは1)】・【スタン値を超高速で回復】・【少しの間、光学迷彩で姿を消す】・【ラウンド中、防御力超アップ】等々、色々ある。

 最も実用的なのはQ(防御力超アップ)だろう。寧ろ彼はコレが無いと非常に苦しい。

◆◆◆◆◆◆スタンゲージ / スタン値
 ストIIIはスタン(気絶/所謂『ピヨリ』)するまでの耐久値が、赤く小さいゲージ【スタンゲージ】として可視化されている。コレにより自分も相手も、いつスタンするかが分かる為、状況に応じて戦法を変える事が可能になった。
 この作品では『スタン=死亡』(一発が痛いから)な場合が多いので、常に警戒せねばならない。

 また、全ての攻撃には【スタン値】が設定されていて、一部の技・SAには『威力が低い代わりにスタン値が極端に高い』のがウリの物もある(アレックス『スタンガンヘッドバット』等)。

◆◆◆◆◆◆◆通常投げ / グラップディフェンス(GD) / 必殺(SA)投げ
 ストIIIは(使いこなせれば)ブロッキングがムチャクチャ強いので、その打開策として、【通常投げが非常に高性能】である(投げゲーと呼ばれてしまう程)。

 投げは『ブロッキングができない』のだが、その代わりに『投げぬけ』【グラップディフェンス】(略称:GD)がある。
 【相手が投げて来た時に、ほぼ同時にこちらも投げ入力】で可能だ。コレは他の2D格闘ゲームとほとんど同じである。

 また、必殺技(or SA)の投げ技は『GDもできない』ので、投げぬけを狙ってきた相手を一方的に掴む事が出来る(特にSA投げは)。
 だからアレックスの『パワーボム』の様に、掴むのが遅い投げ技でも、『攻めの選択肢』には使えるのだ。

(※註:因みに投げは『空中にいる相手』・『のけぞっている相手』は掴めない。特に前者はレバーを上に入れた瞬間から『空中にいる』事になっているので、投げへの対処の一つとなる(対空専用投げは例外で、逆に【地上の相手を絶対に掴めない】)。
 アレックスの『ハイパーボム』を『見てからレバー上』、で回避可能なのもこの為。)

◆◆◆◆◆◆◆◆打撃投げ
 【掴みの部分が打撃技扱い】の投げ技。
その為、『ガード出来る』と言う欠点があるが、上記の【『のけぞってる相手』を掴める】と言う特性がある為、コンボ用に使える長所がある。威力も高いものが多い。

 また基本的に、【ブロッキングは不可能】なので、ソレも強みの一つ(例外:アレックス『エアニースマッシュ』、いぶき『首折り』、ショーン『ショーンタックル』)。


○◎●システム面から見たこの作品の特徴

 これらのシステムにより、ストIIIでは上・中・下段の打撃技、ガード、ブロッキング、投げ、GD、EX技、SA等を巧みに使い分け、時には大胆な戦法(暴れ・ガン逃げ等)に出て意表を突いたりして、
【ひたすらジャンケンしまくる】、と言う『考えて戦う事』をプレイヤーに強要するシステムの為、『シンプルで簡単な操作・システム』とは裏腹にマニアックなゲームになってしまった(ソレが後年高く評価されるのだが)。

 但し、逆説的ではあるが『作業的な戦法に頼る中級者』潰し、に大きく貢献している部分もある為、却って初心者に間口の広いゲーム(格ゲの初心者は『作業的な中級者』に散々やられて、速攻でヤル気を無くす事が多い)、だとも思うのだが、ソレは筆者だけだろうか。

 上級者といえども、決して安定は望めない『ハラハラドキドキなゲーム』(ソレが楽しい!)なので尚更そう思えるのだが。


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