「龍皇杯(ドラゴン・カップ)」

富士見書房の文庫(富士見ファンタジア文庫、富士見ミステリー文庫)で本を出しており、なおかつドラゴンマガジン誌上の連載権を持っていない作家が連載権を求めて人気を争う富士見書房の企画。1998年から開始されて以降、2004年の第7回までの間、年1回ずつ開催された。
毎回6人の作家が龍皇杯用に書き下ろした新作を月刊ドラゴンマガジン誌上で1話分のみ公開し、それを読んだ読者が面白いと思った作品に葉書きで投票する。そしてドラゴンマガジン編集部に届いた票を集計し、最も人気のあった一作品がその回の「龍皇」として選ばれ、月刊ドラゴンマガジンにおける全6回の連載権を獲得する。そしてその作品が全6回の連載期間終了時に「ドラゴンマガジンに連載されている作品の人気順位」で一定以上の順位を獲得している場合、引き続き連載できるというシステムになっている。
ただし、ドラゴンマガジン誌上で既に連載されている「スレイヤーズ」「フルメタル・パニック」等の人気作品上位層の壁が厚いため、連載を継続できる作品は実質半分未満となっている(ただし、後に多数の読者から連載再開を求められて再開するケースもあり)
このように作家の雑誌連載を支援するために用意された企画ではあったが、末期には投票数・アンケート共に大幅に減少しており、ドラゴンマガジンを初めとするライトノベル雑誌も総じて売り上げが減少傾向にあったことなどもあってか2004年の第7回をもって企画そのものが自然消滅するという形に終わった(企画終了のアナウンスは全く無く、2008年度の月刊ドラゴンマガジンのリニューアルに伴う、当時の連載・企画の白紙撤回・再編によって実質の中止が確定した)
なお、後に月刊ドラゴンマガジン2005年6月号(2005年4月30日発売)にて2001年度の第4回龍皇が二名選ばれていることに由来した「真・龍皇決定戦」なる誌上企画が行われ、鏡貴也氏の「伝説の勇者の伝説」が勝利するという記事が掲載されたが、その内容は雑誌の巻頭特集でバラエティ性を重視した記述であり基準もあいまいなため、それによって第4代龍皇の称号が「伝説の勇者の伝説」単独のものになったかどうかは不明である(ただし当時の時点で既に書籍の売り上げは「伝説の勇者の伝説」の方が上回っていたとされる)


●龍皇杯(ドラゴンカップ)受賞作家および作品
・第1回龍皇(1998年度):榊 一郎(さかき いちろう)
 富士見書房デビュー作:『ドラゴンズ・ウィル』
 「龍皇杯」受賞作品名:『スクラップド・プリンセス』
 (※特記事項:おそらく龍皇杯作品中最高の人気を誇る)

・第2回龍皇(1999年度):清水文化(しみず ふみか)
 富士見書房デビュー作:『気象精霊記』
 「龍皇杯」受賞作品名:『ヘッポコあんてぃーく』
 (※特記事項:龍皇作品初、全6回の連載終了後に読者の希望で連載再開した)

・第3回龍皇(2000年度):築地俊彦(つきじ としひこ)
 富士見書房デビュー作:『ライトセイバーズ』
 「龍皇杯」受賞作品名:『まぶらほ』

・第4回龍皇(2001年度):鏡 貴也(かがみ たかや)、瀧川武司(たきがわ たけし)
(鏡 貴也)
 富士見書房デビュー作:『武官弁護士エル・ウィン』
 「龍皇杯」受賞作品名:『伝説の勇者の伝説』
(瀧川武司)
 富士見書房デビュー作:『どかどかどかん』
 「龍皇杯」受賞作品名: 『EME』
(※特記事項:初の2作品同時受賞)

・第5回龍皇(2002年度):川口大介(かわぐち だいすけ)
 富士見書房デビュー作:『KASUMI(はーと)ぶれいくだうん』
 「龍皇杯」受賞作品名:『拝啓、姉上さま』
(※特記事項:この筆者のデビュー作は雑誌掲載のみ)

・第6回龍皇(2003年度):上田志岐(うえだ しき)
 富士見書房デビュー作:『ぐるぐる渦巻きの名探偵』
 「龍皇杯」受賞作品名:『イレギュラーズ・パラダイス』
(※特記事項:初の「富士見ミステリー文庫」受賞作)

・第7回龍皇(2004年度):風見 周(かざみ めぐる) 
 富士見書房デビュー作:『ラッシュ・くらっしゅ・トレスパス!』
 「龍皇杯」受賞作品名:『殺×愛(きる×らぶ)』

ちなみに龍皇杯の開催時期が時々大きくずれることもあり、それに伴い掲載時期がそれぞれ違う場合もある。


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